造型の基本

1.模型の準備
(1) 見切り面をどうするか。
見切り面を決定する場合には、鋳造品の仕様、材質に応じた湯口方案、押し湯法案、鋳物砂の特性、造型能率、造型の確実性から決定する事が望ましいと思われます。
図1のような鋳物では中子を据え付けやすい観点からこのように見切るのが常道と思われます。

また図2のような鋳物では(a)ひずみがない (b)造形性が良い (c)河口面が下になるなどの点から図のように見切るほうがいいでしょう。

(2) 横鋳込みか縦鋳込みかの決定
この件に関しましては下記の事項を決定される方が望ましいと思われます。
(a) 鋳物の重要な部分は下型にする。
(b) 加工面の多い部分は下型にする。
(c) 肉厚の薄い部分は下型にし、厚い部分は上型し押し湯を設ける。
(d) 造型作業はどちらが上にするか、下にするか、横にするか、適しているか。
(e) 模型はすべて定盤付きとし、横、縦、どちらかを判断する。
定盤に模型を設置するのは、抜型が容易で模型の損耗が少なく、製品寸法精度も高い。
図3はポンプの歯車の例です。横鋳込みにすることにより、
(a) 羽の湯まわりがいいです。
(b) 中子の安定性がいいです。
(c) 平面を下にすることにより、欠陥の発生が防げます。

図4は型管例を示します。横込、縦鋳込みすることにより
(a) 偏肉が防止されます。
(b) 中子の安定性がよく
(c) ケレンを使わなくてすみます。
図5はドラムの例で、縦ごめ、縦鋳込みにすることによって
(a) 偏肉が防止され
(b) ケレンを使う必要がありません。
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(3) 上型面をいづれかにするか
中子の据付のしやすさ、安定性などいわゆる工数の提言を考えると同時に、予測される不良を防止することが望ましいですが、原則として下記の造型方を採用してみます。 (a) 重要な部分は下型にする
(b) 加工面を下型にする

(4) 中子取り(寄せ中子)するか、現型にするか
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図7のような場合は現型よりも寄せ型にしたほうがいいでしょう。 (a) 模型費が現型でかさむ場合。 (b) 塗型がやりにくい場合。 寄せ中子の組み立てには十分な注意を払い作業する事が 大切です。 |
(5) 寄せ中子か、おいてこい中子か。
造型性、塗型性、模型費などをいろいろ考えて決定することがいいでしょう。
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(6) 巾木の大きさ、形状はどうするか。
巾木を図面に示された位置に中子の位置を定めると共に、中子の固定化及びガス抜きになるなどの役目をします。
図9 表1、2に丸木の標準的寸法を示します。



(7) 異常収縮部分が予想される場合。
鋳物は使用する鋳物砂、造型法、鋳造法案、鋳物材質、鋳込み温度、中子の有無、鋳物の形状、鋳型や中子の強さなどにより、計画どうりの伸尺では寸法不良を生ずる事があります。ですから、従来からの経験や資料に基ずいて異常収縮を模型に見込む必要があります。
図10は異常収縮を予測してフランジの厚さの不足を補うためにフランジの裏側に調整代をつけた例です。

図11に示すような鋳物では反りが出やすいので逆反りをつけますが、従来からの経験に待つ必要があります。反りは鋳型内でも冷却速度が一様でないために生ずるものですから、鋳型のいづれか一方の側を早めにくずしておき、冷却速度を調整することによって、ある程度の反りの防止に役立ちます。

2. 肉厚交差部の対策 (冷やし金、鋳包み)
a. 目的
鋳型内で溶湯が凝固する際の温度勾配が正常でない場合は、押し湯効果が十分発揮できるように冷やし金、及び押し湯保温材を使用して押し湯効果を補助します。
b. 冷やし金の種類と適応
(1) 冷やし金の種類
直接冷やし金、関節冷やしがね、鋳包み冷やしがねなどがあります。
(2) 冷やし金の適応
@鋳造品の形状、湯口方案、押湯方案と関連づけてそれぞれを単独または組み合わせて使用します。
A冷し金の厚さは製品肉厚の0.8倍です。
B冷し金を鋳物の水平面に用いる場合は接合面に外引けが発生しやすいので削り代が少ない場合には引け代をつける必要があります。
C鋳鉄製の冷し金の繰り返し使用は数回を限度とし、それ以上使用する場合はショット仕上げ、グラインダー仕上げなどを行って使用します。
c. 冷し金の表面処理
(1) 直接冷し金の表面処理
金属性の冷し金を使用する場合は、注油時に接着または嫌われ現象がおきないように冷し金に表面処理を施します。
@冷し金の表面に錆の付着あるいは砂の焼着しているものは必ずショット、グラインダーなどで除去して使用します。
A冷やし金の表面に水生塗型を使用する場合は水分による錆の発生を避けるために直ちに乾燥が必要です。
(2) 鋳包み冷やし金の表面処理
錫メッキやアルミメタリコンの塗装などを行って使用します。表面処理する前の基地に錆や油などがあってはいけません。
3. 肉厚と鋳抜き孔び限界設定
肉厚部へ小さな中子を挿入すると焼着を発生して、砂落としが困難になったり、中子が保温材の役目をして引け巣を生じたりすることがあるので 下記図12の限界を目標にを鋳抜き孔を決定することが望ましいです。

4. 加工代
加工代は出来るだけ少ない事が望ましいですが、鋳物の寸法、形状によって大きく変化します。ノロやカスの入り易い上型面を大きくするのが普通です。加工代の例を表3に示してみます。

5. ケレンの使用
ケレンは使用にあたって下記の事項に注意する事が必要です。
a. 工作機械のりしゅう動面に使用する場合は、チル硬化が発生するので、使用する時には発注者の了解を得る必要があります。長尺ものは変形 が大きいのでケレン座を設ける必要があります。
b. 機密性を要求されるような製品にはなるべく使用しないようにします。やむを得ず使用する場合には、後処理が可能な場所に使用するように検 討してください。
6. 製品の取り出し(バラシ)の方法
(1) 取り出し時間
鋳鉄の熱間亀裂は300〜400℃で発生することが多いです。熱間亀裂発生の恐れがある場合は、温度計で実測して取り出し温度(大物の 場合は80℃以下)を設定することが望ましいです。図13に型ばらし時間と鋳物重量の関係を示します。
(2) 取り出し語の保管場所
a. 床面は乾燥砂、石綿、受け台などを用いてできるだけ平面にします
b. 平面が得られない場合には支点をできるだけ多くします。
c. 通風の良すぎる場合は、冷気が直接当たらないようにします。
d. 形状が変形しやすい製品の上には他の製品を積み重ねないようにします。
鋳造法案の作成にあたって注意すべき事項を述べましたが、これらの事項を十分考慮のうえ自工場の経験を勘案し、湯口方案(湯口、湯道、堰 およびこれらの比率)を決定すべきです。

なお、法案作成にあたりましては
a. 鋳物の仕上げ面および水圧などを受ける部分は下型にします。
b. 加工、仕上げ面は下型にします。
c. 水平面はできるだけ下型にします。
d. 中子は、できるだけ巾気で下型に据付け、ケレンを使用しないようにしてください。
e. 中子の溶湯が直接激突しないように。
f. ガス抜き、空気抜きは、できるだけ上向きにし、各部分の頂部には必ず空気抜きをつけてください。
などの基本的事項について十分に考慮、検討しておかなければなりません。