1954年・第4回スイス大会

ベストイレブン
ポジション国籍名前
GK ジュラ・グロシチ
Gyula Grosics
DF ジャウマ・サントス
Djalma Santos
DF ロジャー・バイルン
Roger Byrne
MF ヨゼフ・ボジック
Jozsef Bozsik
MF リープリッヒ
Lieblich
MF ビクトル・アンドラーデ
Victor Rodriguez Andrade
FW ゾルタン・チボール
Zoltan Czibor
FW サンドル・コチシュ
Sandor Kocsis
FW フリッツ・ワルター
Fritz Walter
FW フィレンツェ・プスカシュ
Ferenc Puskas
FW ボルヘス
Borges

MVP

得点王 サンドル・コチシュ
Sandor Kocsis

得点者ランクトップ5
11ゴール コチシュ
6ゴール モーロック
ヒューギU世
プロブスト
4ゴール プスカシュ
ヒデクチ
ラーン
シェーファー
O・ワルター
ボルヘス

優勝国成績
国名 試合数 対戦成績
6試合 5勝1敗0分け
得点25失点14
 ブラジルのワールドカップから4年、ヨーロッパのサッカーシーンに衝撃的な事件が起こっていた。ハンガリー代表が国際マッチにおいて、4年間無敗と28連勝という偉大な記録を打ち立てたのだ。“マジック・マジャール(魔法使いのハンガリー人)”をいつ誰が敗るのか?ワールドカップの開催年度の間に、ヨーロッパのサッカーファンの話題をさらう事になる。

 母国イングランドは、国際マッチで無敗を誇っていたウェンブリーにハンガリーを招き、連勝記録をストップさせようと目論んだ。圧倒的なホームの大歓声に圧されたハンガリーは、先制ゴールを許してしまう。しかし、結果は、“メイジャー(少佐)”と呼ばれるプスカシュのハットトリックを含む、3−6の圧勝に終わった。怒りが治まらないイングランドは、リベンジとばかりにブタペストへと赴く。しかし、この試合では1−7と力の差をまざまざと見せつけられてしまう。抜群のキープ力を誇るハンガリーの前に、イングランドのパスサッカーは子供扱いにされた。この衝撃のニュースがヨーロッパ全土へ伝えられると、ワールドカップ・スイス大会の大きな呼び物となる。

 コチシュ、チボール、ヒデクチ、プスカシュ、軍隊が所有するチームで鍛えられたハンガリーの選手たちは、役割を明確にして、得点パターンを持っていたことが大きな強味だった。ツートップのプスカシュとバロターシュをウイング的に機能させ、中央のコチシュやヒデクチが2列目から飛び出して来る。コチシュやヒデクチのポジションは、登録上フォワードとなっているが、実質的にはミッドフィルダーとしての役割を与えられており、中央を5人のミッドフィルダーで埋めるMMシステムのキープ力と、ツートップの突破力がハンガリーの大きな武器となっていた。ベルリン・オリンピック以降のヨーロッパのサッカーシーンは、ブンデスリーガから広まったWMシステムが主流となっているが、中盤を厚くしたハンガリーのMMシステムに対応できなかったようである。このMMシステムは、イニシャルが同じことから、マジック・マジャール・システムとも呼ばれたようだ。

 スイス大会に登場したマジック・マジャールは、周囲の注目を浴びる中、アジアから初出場となったハンガリーを相手に9−0の大差で勝利する。ヨーロッパ最強を誇るハンガリーの相手にしては、韓国は役不足と批判的な見方がほとんどだった。ワールドカップにサッカーを習いに来るものではないと、韓国に対する厳しい報道が行われている。第2戦では、強豪ドイツを8−3でノックアウト。不満の声を掻き消すには充分なパフォーマンスだったが、西ドイツのリープリッヒによるキッキングで、プスカシュの左足は大きく腫れ上がってしまい、試合出場は不可能となった。

 プスカシュを失ったマジック・マジャールだが、それでもMMシステムの機能を維持して、次々と強豪チームを倒して行く。準々決勝では、前回準優勝のブラジルと対戦。ヒールリフトを編み出したテクニシャンのジジや、マウリーニョなど攻撃力の高い選手を誇るブラジルだったが、中盤の激しいマークで潰されて出鼻を挫かれる。開始早々にヒデクチとコチシュのゴールでリードしたマジック・マジャールは、4−2のスコア以上の内容でブラジルを圧倒した。前線に強力なフォワードを並べ、個人技による戦いが常識だった時代に、いち早く中盤の組織戦術を持ち込んだマジック・マジャールは、誰の目にも無敵のサッカーに見えただろう。

 準決勝では、世界最強を二分する王者ウルグアイと対戦。ビクトル・アンドラーデを中心に、持ち前のハードタックルで応戦してくるウルグアイとの試合は、延長戦にもつれ込む均衡した展開となり、“ローザンヌの死闘”と呼ばれた。延長終了間際に、コチシュの2ゴールで辛くも勝利したマジック・マジャールは、前評判通りに連勝記録を更新して、ワールドカップの決勝戦へと辿りつく。しかし、その決勝戦に勝ち残ったもうひとつのチームは、1次リーグで完敗を喫した西ドイツだった。マジック・マジャールは、負傷の癒えないプスカシュを投入すると、打倒西ドイツに全力を注ぐ。試合開始と同時に速攻を仕掛けたマジック・マジャールは、チボールとプスカシュのゴールで2点のリードを奪うことに成功した。しかし、1次リーグの大敗からMMシステムの対向策を考えていた西ドイツは、中盤からの飛び出しを警戒してマークを厚くしていた。ゴールデン・パターンを封じ込められたマジック・マジャールは、延長戦を戦った準決勝の疲れもあり、ついに連勝記録に終止符が打たれる。

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