| 1938年・第3回フランス大会 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
ムッソリーニ率いるファシズム党の広告塔と化したイタリア代表ア・ズーリは、ビットリオ・ポッツォ監督のもと、老築したチームの世代交代に取り組んでいた。先回優勝メンバーは軒並み30代を超えており、特にアルゼンチン勢の衰えが顕著に現れた。ポッツォはまず、モンティの変わりとして、2人のウルグアイ人アンドレオーロとグアイータを帰化させる。さらに、巨漢を誇るシルビオ・ビオラを代表のエースとして前線に置き、カウンタースタイルを模索し始めた。184cmの長身を誇るビオラは、パワーとスピードに優れており、ひとりでゴールを奪う能力を備えていた。徹底してゴール前を固め、鋭いカウンターでビオラを走らせる。それが、ポッツォの描いた必勝法だった。大会直前には、ベルリン・オリンピックで金メダルに輝いたパシナーティーを加えて、万全の態勢でフランスへと乗り込んだ。 ワールドカップ実現から8年、黄金のカップはついにジュール・リメの故郷フランスへと凱旋した。このフランス大会から、前回優勝国の予選免除が決まった。前回イタリア大会に続いて、ヨーロッパでの連続開催ということに腹を立てた南米勢は、アルゼンチンとウルグアイの両巨頭が揃ってボイコットしている。そのため、南米から参加したのはブラジルとチリの2カ国だけとなった。これまでの2大会は、開催国がそのまま優勝の栄冠を勝ち取っていたが、フランスは準々決勝でイタリアに破れている。前半にビオラのゴールでリードを奪われたフランスは、6万人の大観衆の後押しを受けて反撃。一時は同点に追いつくことに成功するが、再びビオラにゴールを奪われて力尽きてしまう。 “黒いダイヤモンド”レオニダスを擁したブラジルは、初戦でポーランドと対戦。レオニダス、ビリモフスキーの両エースがハットトリックを達成する乱打戦は、6−5でブラジルが勝利する。この頃のブラジルは、まだ華麗なテクニックを見せるには程遠く、悪質なファウルで対戦チームの選手を負傷させていた。特に酷かったのは、チェコスロバキアとの2回戦で、乱闘騒ぎが起きてしまい“ボルドーの戦い”と酷評を受けることとなった。ブラジルはレオニダスのゴールで先制するが、チェコスロバキアもネイェドリーのゴールで同点。試合は延長戦へともつれ込み、ここで両チームの選手がエキサイトして試合が中断する。ブラジル、チェコスロバキア共に負傷者を出したが、ダメージが大きかったのはチェコスロバキアの方だった。優勝候補の一角を占めていたチェコスロバキアは、守護神プラーニチカと前大会得点王のネイェドリーの2人を骨折の重傷で失ってしまう。9人となったチェコスロバキアは、守りに守って延長戦を逃げ切った。翌日、再試合が行われると、4人のレギュラー選手を欠いたチェコスロバキアに、ブラジルを倒す力は残されていなかった。 パルク・デ・プランスで行われた決勝戦に勝ち進んだのは、破竹の連勝を続けるマジックマジャール・ハンガリーと、ファシズムの広告塔ア・ズーリ。ここまで、3試合で13得点と破壊的な攻撃力を見せつけていたハンガリーに対して、イタリアは果敢にも攻撃的に仕掛けて行く。奇襲攻撃に成功したイタリアは、開始5分にコラウッシのゴールで先制。しかし、リードも束の間、2分後には同点に追いつかれてしまう。イタリアは、前線に残るビオラとコラウッシへロングボールを供給して、速攻から2得点を追加した。先手先手で攻めこんで来るイタリアにペースを掴まれ、ハンガリーは試合の流れを引き寄せることなく前半を終える。後半にシャロンが1点を返したが、反撃はここまで。終了間際にビオラが止めのゴールを決めて、イタリアが2連覇を達成した。“勝たなければ死を覚悟しろ!”と選手を脅していたムッソリーニは、満面の笑みを浮かべて選手の労をねぎらった。 開幕直前、ドイツがオーストリアを併合したため、オーストリアは不戦敗となっている。そのオーストリアの選手のうち、5人がドイツ代表としてプレーしていたが、スイスと再試合を行ない2−4で大敗を喫した。翌年、第二次世界大戦が勃発。ワールドカップは、時代のうねりと共に中断を余儀なくされる。伝説のブンダ−チームを率いたマティアス・シンデラーは、享年35歳という若さで自殺。世界に平和が戻り、再びワールドカップが開催されるには、12年もの歳月を待たなくてはならなかった。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
>>1934年イタリア大会
1938年フランス大会
>>1950年ブラジル大会 >>World Cup History Top >>Soccer Freaks Road |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||