This is real Pele's story. He is fighting. The enemy is Maradona.
この物語は50%のノンフィクションと50%のフィクションによって構成されています。
[SFR公認]Pele & Maradona

ディエゴ・ハラドーナ来日の巻


2001年、ワールドカップ開催国ニッポンのセレモニーに出席。記者のリクエストに応じてポーズを決めるペレ。


日本にいるファンの皆さん、いつも親切にしてくれて有難う。次のワールドカップはアジア初の開催であり、日本が主催国としてサッカーの普及を担うことを私も嬉しく思います。

私は1977年に日本で現役引退試合を行いました。 1984年には釜本選手の引退試合にも参加させて頂きました。当時の日本はまだプロサッカーリーグも無かったと記憶していますが、こうしてワールドカップを開催するまでになりました。日本の皆さんの努力には敬意を表します。

私にとっても日本は特別な国です。ワールドカップが無事に成功することを心から応援しています。

カルロス・ペドロの手記より抜粋

とにかく日本人というのは気前が良い。今でもペレを王様として迎えてくれる有り難い国だ。ペレがワールドカップの開催地に日本を押していたのもそのためさ。"日本なら稼げる"。ペレはいつもそうボヤいていたよ。韓国が対立候補として手をあげた時は、わざわざ韓国へ出向いて牽制していた。さすがにあの行動には驚いたよ。(共催という形で)日本での開催が決まった時、ペレはすぐにカワブチたちに連絡を取ったんだ。満面の笑みで"オメデトウ"って。その電話一本で、日本のサッカー協会がエアチケットを準備してくれる。安いものさ。


2002年、ワールドカップの展望について記者の質問に答えるペレ。

"ずばり優勝予想は?"

今大会最高のチームはアルゼンチンだ。(あなたの国では?)いや、ブラジルじゃーない。アルゼンチンだ。どのポジションの選手もスペシャルで、素晴らしいパフォーマンスを見せるだろう。ワールドカップはアルゼンチンに渡る。

"ロナウドは得点王になれますか?"

その質問を私にぶつける前にロナウドの姿を見て欲しい。彼は明らかにウエイトオーバーだ。以前のロナウドなら問題なかったが既に終わっている。得点王はフランスのアンリあたりだろう。


ブラジル人サポーターのコメント

ワールドカップが開催されるたびに記者達はこぞってペレの予想を聞きたがるのよ。全然当たらないのにね。記者の中にはわかってるヤツもいるわ。だって半分お笑い感覚なんだから。それでもペレは真剣に応じるのよ。彼って根は良いヤツなのかもね。ペレがブラジルを予想しなくて本当に良かったわ。これでアルゼンチンは無理ね。だってペレの予想は死刑宣告なのよ。アルゼンチンに同情するわ。

カルロス・ペドロの手記より抜粋

2002年6月、私とペレは日本に入国した。代表チームが韓国で試合をしているというのに、私達が日本に滞在しているのは不思議がられるだろう。プライベートを捨ててビジネスに徹する。それがペレの哲学なんだ。日本では様々なセレモニーに参加した。各地でファンが集まり、久しぶりにペレの笑顔を拝めたよ。たっぷりと稼ぐことができてペレはご満悦だった。決勝トーナメントに進めば、セレソンも日本に来るだろう。それまではここで稼がせてもらう。ペレと私の戦略は見事に成功した。あの男が来るまではね。


ペレ、聞いたか。マラドーナは日本に入国できないそうだ。日本の外務省が入国を拒否しているらしい。

当然の事だ。それぐらいの根回しは済ませてある。

まさか、あれもおまえの仕業なのか。発表ではコカインの服用が・・・

カルロス、ここはオレにとって第二のホームなんだ。日本の政府にも友人はいる。

おまえがそこまでマラドーナに拘っていたとはな。

サッカー界の頂点は1人で十分だ。わかるだろ。ペレの上には何も無い。


カルロス・ペドロの手記より抜粋

20世紀最優秀選手選出の一件でペレはマラドーナに対する意識が露骨になっていた。何かにつけてマラドーナより目立とうとするようになり、私の気付かないところでマラドーナの来日を阻止していたようだ。日本は彼にとって第二のホームだからね。ブラジル人に愛想を尽かされた今、日本で負けることが許されなかったんだと思う。ペレのサッカー人生を賭けた戦いでもあったんだよ。2002年は。日本の各地で行われるセレモニーに出席したのも、若い日本人に少しでもペレの名を認知してもらうためだった。私がそのことに気付いたのはマラドーナが成田空港に降り立ったあの日なんだ。



2002年7月、ワールドカップ決勝戦を目前にして日本に上陸したディエゴ・マラドーナ。アルゼンチン政府はマラドーナを同国スポーツ大使に任命することで、世界で最も厳しいと言われる日本の外務省の審査を突破した。念願叶って日本にやってきたマラドーナだったが、すでにアルゼンチン代表は敗退した後だった。以下、空港での記者団とのやりとり。


"まず失礼ですが、私にはあなたがマラドーナには見えません。"
おかしな質問だ。私はディエゴ・マラドーナだ。


"すでにアルゼンチンは敗退してしまったが?"
私はワールドカップを楽しみにしている。アルゼンチンの応援が全てではない。日本でワールドカップの決勝戦を見るだけでも満足だ。


"あなたは随分と太られましたが?"
(不機嫌そうに)あなたも若い頃とは変わったでしょう。人間は成長すると変わるのです。


"日本政府の対応に不満はありましたか?"
私は過ちをおかした人間だ。日本の外務省の処置は正しい。


"日本では死亡説も出ていました。あなたが弟ではないかと疑っているファンもいます。"
もう1度言っておく。オレはディエゴ・マラドーナだ。オレは生きている。



ディエゴ・マラドーナの記者会見を見て爆笑するペレ。

カルロス・ペドロの手記より抜粋

成田空港でのマラドーナのパフォーマンスは強烈だった。あの風貌だ。インパクトが違っていたよ。それまでペレが地道に築き上げてきたものを1発で吹き飛ばしたんだ。一夜明けてみると状況が一変してしまった。世界中の主要メディアがマラドーナをトップニュースで扱った。イギリスのBBC、アメリカのCNN、日本のNHK、もうすべてだ。ペレはカンカンだった。

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